台湾の音楽
久しぶりの台湾
今回の台湾(台北)訪問は、本当に久しぶりになります。2008年7月に家族旅行で尋ねて以来のことですので。なんと14年ぶり!今回尋ねた7月1日〜の5日間の最高気温は32℃程度でした。前回の記憶では最高気温37℃があったようですので、雲泥の差です。でも、前回とは異なり、今回の台北訪問は国際学会(国際伝統音楽舞踊 東アジア音楽研究グループ 第9会シンポジウム、ICTMD-MEA TAIPEI The 9th Symposium)での研究発表と研究会のちょっとした運営のお手伝いでの訪台でした。家族も同行したのですが、別行動で朝食や夕食のときのみ会う程度でした。以前の訪問では、暑い中を伝統楽器のお店、故宮博物館を訪ねたり、九份へ足を伸ばしたりでしたが、今回は、ほとんどがホテルと会合が行われた台湾国立師範大学や台湾国立伝統芸術センターの行き来のみといった「健全な?」生活でした。ご存じのように台北市はMRTという鉄道が発達しているので、車両に入ってしまえばクーラーで快適です。ちなみに、自分の発表のタイトルは「Indian Music in Japan—Towards Integration」で、1970年代から始まった日本でのインド音楽の拡がりと、1990年代より顕著になったインドルーツの人々の音楽の間の「統合」や、音楽を使ったコミュニティ間の「統合」についてのものでした。
台湾音楽のイメージ
街中の音楽を観察すると、少なくとも台北においては東京やインドに比べてBGMが少ないな、という感じです。もちろん、街中のおしゃれ系のショッピング街、麺屋、カフェなどではおしゃれなポップスが流れるのですが、日本では小さな店や商店街でもBGMを聞かされることが多いと感じますが、そこまでうるさくない感じでした。今回は、台北駅を通る淡水信義線沿線など主に西側の地域を見ただけの印象にすぎませんが…
下の写真1は、台湾国立師範大学の音楽系の学生が利用する部分です。中に入ると日本の音大や、教育大学の音楽系と同じように、ピアノやヴァイオリンのレッスン室、練習室、ホールなどが並んでいます。尋ねたときも西洋クラシックのさまざまな曲をレッスン・練習している音に溢れていました(少し、防音が弱いのかな?)。その入口には、さまざまな音楽イベントのポスターが並ぶのも、私たちが良く見ている風景です。

写真1:台湾国立師範大学音楽系館(筆者撮影、2026年7月)
詳しくは調べていないので不正確かと思いますが、日清戦争の結果、下関条約(1895[明治28]年)により中国(清朝)より日本に割譲された台湾は、日本の第二次世界大戦敗戦後の中華民国国民政府による台湾省設置(1945年)までの間、日本の文化の影響を大きく受けていたわけですから、日本の教育制度の導入の下で西洋音楽教育も導入され、レコード産業なども影響を与えたと考えられます。こうした観点も含めた、音楽学的研究も進みつつあるようです。ここでは、触れませんが…
今回は、学会と併行して、台湾国立師範大学民族音楽研究所にもお邪魔して、いろいろなお話を伺わせていただきました。今回お世話になったのは、台湾に済む小数民族の音楽を研究している呂鈺秀(Lu, Yu-Hsiu)先生でした。先生には、台湾のさまざまな小数民族が持つ民俗音楽の録音物の刊行プロジェクトについてお話を伺いました。1967年に行われた民謡(民歌)採集調査の音源を、解説、楽譜(採譜)、写真付きで紹介するシリーズの一部をいただきました。貴重な刊行物を提供していただき、感謝いたします。古い調査記録を収集しているとのことでしたので、私の方からは日本人による台湾音楽調査の情報をお送りするとお約束してきました。以下の写真2は、いただいた刊行物にも掲載されているものです。日本人の音楽研究者小泉文夫による台湾音楽調査時の写真のようです。台東県の馬蘭阿美族の民謡調査時のものとのことです。

写真2:歌者(1973年8月3日小泉文夫撮影)第一次民歌最終運動|聲音資料解析 Vol.05:聴見1967—馬蘭阿美族(国立台湾師範大学、2023年)
次のYouTube動画では、この出版物の発表会の様子を原視新聞網(TITV NEWS)が2023年2月13日に、「1967年、ある音楽家が特別に台東の馬蘭部落を訪れ、アミ族の歌謡を採集・録音しました。それから60年が過ぎ、国立台湾師範大学民族音楽研究所による研究・分析を経て、『聴こえる1967:馬蘭アミ族歌謡アルバム』と題して発表されることになりました。12日には、特別に馬蘭部落集会所で発表会が開催されます。」と伝えています。
写真3は、今回訪問した研究所での楽器展示の様子です。コレクション数は多くないようですが、美しいパネルを制作して、世界の楽器の関連などに着目した展示を行っていました。また、インドネシア・バリ島のガムラン楽器も所有していて、学生達が実習すると伺いました。

写真3:台湾国立師範大学民族音楽研究所—楽器展示「ショートネックリュート」セクション(筆者撮影2026年7月)
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