夏休みの音楽

夏休みとなった学校も多いと思います。世界のさまざまな楽器を見る・触れることのできる施設があると面白いですよね。関西、中部、東京圏で、世界の楽器を見たり・触れたりできる場所について書いてみたいと思います。
こびん 2026.07.25
誰でも

楽器で音を出す、楽器を見る、楽器に触れる場所

 普段から音楽が好きで、いろいろな楽器を習っている方も多いと思います。日本で学習されている楽器の種類をすべて列挙することは難しいですが、いわゆる西洋クラシック音楽に関係する楽器たち、ジャズやポップスで使われるエレクトリックな楽器たち、日本の伝統楽器たち、世界の楽器たちなど、いろいろが楽器を習っている人たちがいらっしゃいます。またそれらを教える方々も多くいるのが今の日本です。そういう意味では、日本の音楽状況は、ある程度「幸せ」な状況なことは確かです。

 小学校を始めとする教育現場でも教科としての「音楽」において、これらの楽器を演奏したり、音楽を鑑賞したりすることが行われています。中でもブラスバンドは多くの学校の課外活動の王道といってもよいほど、関わる生徒は多くなっていますね。ただ、ひとたび、学校を卒業して社会に出ると、楽器について体系的に見たり、聞いたり、触れたりする場所が限られているのも日本の状況かと思います。意外に思う方もいらっしゃるかもしれませんが、日本には国立の「楽器博物館」や「音楽博物館」は存在しません。音楽は聴くものだから、音楽堂を整備すればよいと考えられているところがあるようで、国立劇場、国立能楽堂、新国立劇場といった上演場所はあるていど充実している面はあります。しかし、楽器を含めて音楽について体系的な知識が提供され、私たちがアクセスできる場所はあるのでしょうか?ここでは、世界の楽器を見る、楽器に触れるといった点から、いくつかの施設を見ていきたいと思います。もしお近くにお住まいであれば、この夏休み中にこどもさんたちや、お友達、家族といっしょに訪れるのもよいと思います。

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国立民族学博物館(通称「民博」、大阪)

 名前からすると、「楽器や音楽と関係があるの」とクエスチョンマークが目の前に湧き上がった方も多いかと思います。さきほど書いたように、日本には楽器を専門とした国立の施設ははありません。でも、民族学(文化人類学)をテーマとした民博では、「音楽」文化はその研究対象の一部となっています。世界のさまざまな地域の人々が持つ文化の一つの項目が「音楽」であり、音をどのように表現に利用しているかを知る手がかりとして、世界のさまざまな楽器を収集しているのです。単純に当館が公開している標本資料目録でキーワード「楽器」を検索すると、3597件がヒットします(注1)。どの博物館や美術館と同じように、持っているものをすべて展示するとはならないので、一般の来場者としてはそのすべてを見ることはできません。当館では、「音楽展示」の専用コーナーが設定されていて、「音や音楽と私たちの存在とのかかわりを、世界各地の「太鼓」、「ゴング」、「チャルメラ」、「ギター」等の例を通して考えます」(注2)とあるように、世界各地の太鼓などが展示されています。また、世界の地域ごとの展示コーナーにも、一部の楽器が展示されています。音の出る道具としての楽器がどこにあるか探検するのも面白いですね。また、実物ではないのですが、ビデオテークという映像を見られるシステムがあり、メニューから音楽や楽器に関係するものブースで見ることができます。

 ■国立民族学博物館:〒565-8511 大阪府吹田市千里万博公園10-1(最寄り駅は、大阪モノレール「万博記念公園駅」より徒歩約15分)

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浜松市楽器博物館(浜松)

 国立ではなく公立の楽器専門博物館として、日本初のユニークな存在です。「1981年より浜松市が進める「音楽のまちづくり」の一環として1995年4月に設立された」(注3)と謳われています。ご存じのように、ヤマハ、カワイ、ローランドと初めとした日本の代表的楽器メーカーが集う浜松市にこうした施設が生まれたことも自然なことかもしれません。

 「こびん's World Musicワールド」の「インドネシアの音楽ガムランと日本」(2026.06.26.)でも、インドネシアのガムラン音楽に関するイベント紹介として扱ったばかりでした。楽器資料は3300点(ヨーロッパ1750点、アジア630点、オセアニア160点、アフリカ230点、アメリカ200点、日本330点)、その他の楽譜・絵画・彫刻等楽器外資料、和書・洋書等図書資料8500点、CD・ビデオテープ等視聴覚資料2000点を所蔵との情報があります。

 ここの特徴は、楽器の理解は、見るだけでなく音を聞くこと、自分で音を出すことにより進むとの考え方です。すべての展示物から音がでるわけではないし、すべての楽器に触ることができるわけではないのですが、他の博物館などに比べてそうした機会は多いと感じます。館員が特定の楽器の音を出し、説明するトークイベントも定期的に行われていたり、館内の「天空ホール」などでも演奏会や講座・ワークショップが開催されています。7月11日よりリニューアルしていて、12月まではインドネシアのガムランに関した演奏、イベントが多くラインナップされています。

 ■浜松市楽器博物館:〒430-7790 静岡県浜松市中央区中央3-9-1(JR浜松駅北口より徒歩10分)

 ■利用案内:https://www.gakkihaku.jp/guide/

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民音音楽博物館(東京)

 残念ながら、東京には楽器や音楽を専門として扱う国立・公立博物館はありません。東京国立博物館(東博、上野)といったすぐれた博物館の一部の収蔵品に琵琶、篳篥、三味線、箏が含まれてはいます。ただ、こうした博物館においては楽器専用のコーナーを備えているわけではなく、あくまでも楽器もいわば美術品として扱われている傾向があります。

 こうした状況のなかで、民音博物館は、一般財団法人民主音楽協会(民音)創立10周年記念事業として1974年に設立された私設の「民音音楽資料館」から発展した音楽専門博物館です。民族楽器808点、古典ピアノ・自動演奏楽器等83点を所蔵し、その他録音・映像資料121,406枚、楽譜約5万点、図書約3.6万点を所蔵しいます(注4)。

 この施設の所蔵資料の中でも重要度が高いと思われる古典ピアノが充実していて、定期的に古典ピアノと自動演奏楽器(オルゴールや自動演奏ピアノなど)のデモンストレーションが組まれています。訪れる際には、利用案内から演奏時間を確認して行くとよいでしょう。夏休みのこの時期は、企画展「こどものための世界民族楽器展」が7月10日(金)〜9月27日(日)まで開催されています。

 ■民音音楽博物館:〒160-8588 東京都新宿区信濃町8番地(JR中央・総武線 信濃町駅より徒歩5分など)

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こども家庭庁「こども霞が関見学デー」(令和8年)

 常設の楽器展示ではありませんが、2026年7月29日(水)〜30日(木)に、「こども霞が関見学デー」のこども家庭庁イベントの中で、「世界の楽器でおしゃべりしよう」と題したイベントが開催されます。東京音楽大学付属民族音楽研究所が所蔵する世界の楽器の一部、同大学の授業「ミュージック・コミュニケーション講座」が共同でども霞が関見学デーにお邪魔する形のイベントです。対象は、小・中学生・幼児等(原則として保護者同伴)で、1日に3回の楽器を使うワークショップ、また10時〜16時までの世界の楽器の展示「世界の楽器の体験コーナー」があり「クイズラリー」を行います。この2日間、こどもさんが楽しめるイベントがたくさんラインナップされています。

 ■こども霞が関見学デー(令和8年):https://www.cfa.go.jp/natsuyasumi2026/kasumigaseki-day

 ■こども家庭庁:〒100-6090東京都千代田区霞が関3-2-5霞が関ビルディング14階、20階、21階、22階

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(注1)国立民族学博物館収蔵資料別データベース「標本資料目録」https://htq.minpaku.ac.jp/databases/mo/mocat.html

(注2)国立民族学博物館音楽展示 https://www.minpaku.ac.jp/exhibition/permanent/main/music

(注3)楽器博物館とは/楽器博物館の概要と歴史 https://www.gakkihaku.jp/about/outline/

(注4)民音音楽博物館/所蔵資料 https://museum.min-on.or.jp/about/material.html

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